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より良い関係をデザインする|関係デザイン合同会社

実績紹介 その1

8Kディスプレイ向け3DCGコンテンツ閲覧用
コントローラーおよびアプリケーションのプロトタイピング

:シャープ株式会社

2020年7月29日~8月2日に東京国立博物館「東洋館」で行われた実証実験「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」(主催:東京国立博物館・文化財活用センター・シャープ株式会社)で使用している「茶碗型ハンズオンコントローラー」およびそのコントローラーと連動する3DCGコンテンツ閲覧用アプリケーションのデザインと開発に協力しました。[ 2020.10.01 追記 ]「2020年度 グッドデザイン賞」を受賞し「2020年度 グッドデザイン・ベスト100」に選ばれました。 [ 2022.04.19 追記 ]コントローラーを6つに増やし内容を拡充したバージョンが愛知県陶磁美術館で公開されました。

実証実験の様子

▲ 実証実験の様子

コントローラーと3DCGのより良い関係

このプロジェクトで私たちが取り組んだ課題の中でも特に大きな課題は、「コントローラーと3DCGの関係」をいかにより良いものにするかということでした。

「茶碗型ハンズオンコントローラー」の特徴は、ユーザーが前後に動かしたり、回転させたりした通りに画面の中の3DCGも動いたり回転したりするというものですが、初期のプロトタイプによる検証の結果、ただ単純に同じように動くだけでは、操作感(操作のしやすさ)に課題があることがわかりました。

ユーザーによる操作と画面の中の3DCGの動きを、違和感なく自然に感じられるように連動させつつも、より良い操作感を実現するために、「コントローラーと3DCGの関係」に「強調」や「制限」を加えるといったアイデアを加えながら、テストと修正を重ね、より良い操作感をデザインしていきました。

「コントローラーと3DCGの関係」に「強調」や「制限」を加える
コントローラーと3DCGのより良い関係
コントローラーと3DCGの連動の様子1
コントローラーと3DCGの連動の様子2 コントローラーと3DCGの連動の様子3

▲ コントローラーと3DCGの連動の様子

試行錯誤のための工夫

より良い操作感実現のためのテストと修正の繰り返しを、より多く、より簡単に行えるようにするために、コントローラーと3DCGの関係を調整するためのパラメーターや、表示するコンテンツ内容などの変更を、テキストファイルの修正で行えるようにしたことも、工夫したポイントのひとつです。操作感に大きく関わる重要なパラメーターは、キーボード操作によるリアルタイムな変更もできるようにしました。

「パラメーター調整」をしやすくすることで、開発途中でのテストの被験者の反応や意見を、すぐにその場で反映させることができ、より効率よく、操作感を改善していくことができました。

「パラメーター調整」をしやすくすることで「改善」のスピードアップ!
試行錯誤のための工夫

わかりやすさのための工夫

今回使用するコントローラーは特殊なもののため、その使い方を体験者に説明し、理解してもらう必要があります。しかし、文字や画像による説明だけでは、視界に入らない可能性もあるため、しっかりと伝わるように音声による説明も実装しました。

そして、これらの情報を表示/再生するタイミングを、体験者の操作や、画面の変化、体験者の理解の流れなどに合わせて調整することで、よりしっかりと的確に情報が伝わるようにしています。

また、体験者の操作や画面の変化に応じて効果音を再生することも、わかりやすさのための要素のひとつです。体験の流れを崩さずに、さりげなく変化を伝えられるように、音量や音色を調整しています。

「文字」「画像」「音声」「効果音」それぞれに最適なタイミングやバランス
わかりやすさのための工夫

運用のための工夫

コントローラーとアプリケーションとの接続や、コントローラーの向きや距離の補正をできるだけ簡単に行えるようにしたり、体験の途中でコントローラーとの接続が切れた場合や、コントローラーの充電が切れた場合、体験者が途中で体験をやめる場合など、会期中に起こりうる様々な状況を想定しながら、細かな仕様を調整し、会場のスタッフの負担をできるだけ減らせるように工夫しながら、最終的なアプリケーションを仕上げていきました。

「会場のスタッフの負担」をできるだけ減らす
運用のための工夫

博物館で実際に体験

完成後、私たちも実証実験に参加させていただき、その後、博物館内に展示されている実物の茶碗も見に行きました。

展示されている実物の茶碗はガラスケースの中に入れられているため、触ることができないのはもちろん、裏側を見ることも、顔を近づけて細部を見ることもできません。また、光の当たり方も一定なため、色や質感が分かりにくい部分もありました。

そのような実物を見ることに比べて、手に取って重さや質感や手へのフィット感などを感じつつ、自由に動かしながら8Kのディスプレイでじっくり細部を見ることができる今回の仕組みは、その物の良さをより深く知ることができるコンテンツになっていると、改めて感じました。

[ 2020.10.01 追記 ]「2020年度 グッドデザイン・ベスト100」に選出

今回、私たちがお手伝いさせていただいた「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」が「2020年度 グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞し、さらにその中でも高い評価を得た100件として「2020年度 グッドデザイン・ベスト100」に選ばれました。

シャープ担当者のご好意で、私たちの名前もデザイナーとして記載していただいています。

[ 2022.04.19 追記 ]コントローラーを6つに増やし内容を拡充したバージョンが愛知県陶磁美術館で公開されました。

新たに収録された3つの茶碗を含む、合計6つの茶碗にそれぞれ対応する「茶碗型ハンズオンコントローラー」を用意し、各茶碗の解説も新たに多数収録した8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」の拡充バージョンが、文化財活用センターにより制作され、愛知県陶磁美術館で公開されました※。

6つの茶碗それぞれに専用のコントローラーを用意することによって、ユーザーは自由に茶碗を持ち替え、その形や重さ、触感の違いなどを感じながら鑑賞することができるようになりました。

私たちも引き続きこのコンテンツの開発に携わっており、6つのコントローラーを1つのアプリケーションに同時に接続し、好きなタイミングで自由に茶碗を持ち替えることができる仕組みの実現や、新たに追加されたナレーションの収録などをお手伝いさせていただいています。

※文化庁「令和3年度 地域ゆかりの文化資産地方展開促進事業(先端技術を活用した文化資産コンテンツ制作プロジェクト)」により制作したものです。

関係デザインからの参加メンバー

ディレクション : 松本 悠美子
プログラミング : 加藤 雄大
サウンド : 宮村 樹
ナレーション : アマギセーラ

お問い合わせ

〒107-0062 東京都港区南青山2丁目2番15号 ウィン青山942

関係デザイン合同会社
代表:松本 悠美子

TEL : 03-6403-0237
FAX : 03-6893-3931
MAIL : info@kankei-design.co.jp